美空ひばり全曲集 龍馬残影

美空ひばり 美空ひばり全曲集 龍馬残影歌詞
1.龍馬残影

作詞:吉岡治
作曲:市川昭介

風が舞うのか お龍(りょう)の声か
頬をたたいた 京しぐれ
夢のつづきが あるならば
おまえと見たい 最後まで
龍馬血染めの 龍馬血染めの 夢が哭く

馬鹿が無用の 剣ぬいて
それで日本が 拓けるか
話してわかる 刺客(やつ)ではないが
まことこの世は ままならぬ
浮いて漂よう 高瀬船

土佐の高知の はりまや橋で
坊さんかんざし 買うをみた
ヨサコイ ヨサコイ……

維新回天 命を賭けて
散って実のなる 華もある
荒れて吠えるな 土佐の海
明日は七つの 海越えて
龍馬夜明けの 龍馬夜明けの 天を征く


2.千姫

作詞:石本美由起
作曲:市川昭介

天を揺がす 砲声に
戦かいなき 陣太鼓
ああ秀頼の 妻として
散らんと願う 千姫の
涙も燃える 夏の陣

城を守るは 我が夫
城を攻めるは 祖父と父
ああ戦国の 世に生きて
亡ぶも勝つも 運命なら
幸せいずこ 大阪城

これが最期と 秀頼が
心静かに 打つ鼓
ああたえがたき 今生の
別れの舞いを 赤々と
炎が照らす 天守閣


3.お島千太郎

作詞:石本美由起
作曲:古賀政男

花はさいても 他国の春は
どこか淋しい 山や川
旅の役者と 流れる雲は
風の吹きよで 泣けもする

「お島さん
もう若旦那と呼ぶのはよしてくんな
今の俺らは 檜屋の若旦那でも
千太郎でも ありゃしない
追手の目をくらます十蔵一座の旅役者
見よう見真似の俄か役者が
化けの皮をはがされずに
ここまで 逃げおうせたのは
お島さん
みんなお前さんのおかげだよ」

渡り鳥さえ 一緒に飛べる
連れがなければ 辛かろに
口でけなして こころでほめて
お島千太郎 旅すがた

「お島…… お前の真心は
誰よりも俺らが一番身にしみている
口には出して云わねえが
心の中じゃ 何時だって
手を合わせて礼を云っているんだ
こんなに苦しい思いをしながら
どうして俺らにつくしてくれるのかと
不思議に思う時もある
だが 故郷へ帰って 檜屋の看板をあげたら
その時はお島 旅芸人の足を洗って
俺らの世話女房に……」

人の心と 草鞋の紐は
解くも結ぶも 胸次第
苦労分けあう 旅空夜空
月も見とれる 夫婦笠


4.御存じ弁天小僧


5.雪之丞変化

作詞:西条八十
作曲:古賀政男

娘ざかりは 誰でも着たい
花の振袖 涙で捨てて
男すがたの 身は旅役者
尾花咲く咲く ああ 秋が来る

父よ母よと 蓑虫さえも
秋は啼く啼く 楽屋の隅で
恋し長崎 ベーロン祭り
敵(かたき)討つ日は ああ いつじゃやら

恋の淡雪 はかなく消えた
江戸のまぼろし 浪路さま
熱い情に 役者が流す
今日の涙は ああ 嘘じゃない


6.江戸の闇太郎

作詞:西條八十
作曲:古賀政男

月に一声 ちょいとほととぎす
声はすれども 姿は見えぬ
おれも忍びの 夜働き
どっかり抱えた 千両箱
こいつァ宵から 縁起がいいわい
ヘンおいらは黒頭巾
花のお江戸の 闇太郎

風に稲穂は あたまをさげる
人は小判に あたまをさげる
えばる大名を おどかして
さらう小判は 涙金
おつな商売 やめられましょうか
ヘンおいらは黒頭巾
花のお江戸の 闇太郎

江戸の盛り場 猿若町に
ひいき役者の 幟があがる
あだな笑くぼに 雪の肌
女泣かせの 雪之丞
こいつァ今夜も
行かざぁなるめえな
ヘンおいらは黒頭巾
花の お江戸の闇太郎


7.八百屋お七

作詞:野村俊夫
作曲:万城目正

月を見てさえ 吉さま恋し
まして逢えなきゃ なおさらに
泣いて畳んだ 折鶴だいて
娘十六 恋ごころ

忍ぶ小路の 足音きけば
胸は早鐘 みだれ打ち
紅を散らした 顔のぞかれて
知らぬふりする はずかしさ

夢も七いろ 吉さま参る
醒めて悲しい 小夜嵐
娘ごころは 燃えてるものを
ままにならない 恋模様


8.月形半平太の唄


9.柔

作詞:関沢新一
作曲:古賀政男

勝つと思うな 思えば負けよ
負けてもともと この胸の
奥に生きてる 柔の夢が
一生一度を
一生一度を 待っている

人は人なり のぞみもあるが
捨てて立つ瀬を 越えもする
せめて今宵は 人間らしく
恋の涙を
恋の涙を 噛みしめる

口で言うより 手の方が早い
馬鹿を相手の 時じゃない
行くも住(とま)るも 座るもふすも
柔一すじ
柔一すじ 夜が明ける


10.それでも私は生きている


11.熱祷(いのり)

作詞:川内康範
作曲:小野透

愛しいあなたよ
わたしが死んだら なきがらを
誰にも指を ふれさせず
頬にくちづけ してほしい
それがわたしの しあわせなのよ

(セリフ)あなた私は幸せ
こんなにしていただいて
何一つお返し出来ない私を お許しになって
でも私は あなたの胸の中で
きっとあなたを お守りしています
いつまでも いつまでも

愛しいあなたよ
わたしが死んでも 泣かないで
この世にうすい 命でも
恋に燃えたわ かぎりなく
それがわたしの しあわせなのよ


12.みだれ髪

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

髪のみだれに 手をやれば
赤い蹴出(けだ)しが 風に舞う
憎くや 恋しや 塩屋の岬
投げて届かぬ 想いの糸が
胸にからんで 涙をしぼる

すてたお方の しあわせを
祈る女の 性(さが)かなし
辛(つ)らや 重たや わが恋ながら
沖の瀬をゆく 底曳(そこび)き網(あみ)の
舟にのせたい この片情(かたなさ)け

春は二重(ふたえ)に 巻いた帯
三重(みえ)に巻いても 余(あま)る秋
暗(くら)や 涯てなや 塩屋の岬
見えぬ心を 照らしておくれ
ひとりぼっちに しないでおくれ


13.時雨の宿

作詞:さいとう大三
作曲:竜鉄也

雨をみつめて飲む酒は
虫の声まで沁みてくる
呼んでいるのかあのひとを
未練涙がまた残る
あゝ時雨の 時雨の宿

しまい忘れた風鈴は
いまの私と似た運命
泣いているのか風のように
遠い想い出恋しがる
あゝ時雨の 時雨の宿

ひとり枕で聞く唄は
いつか憶えた流行り唄
夢でみるのか過ぎた日を
ふたり暮した遠い町
あゝ時雨の 時雨の宿


14.越後獅子の唄

作詞:西条八十
作曲:万城目正

笛にうかれて 逆立ちすれば
山が見えます ふるさとの
わたしゃ孤児(みなしご) 街道ぐらし
ながれながれの 越後獅子

今日も今日とて 親方さんに
芸がまずいと 叱られて
撥でぶたれて 空を見あげれば
泣いているよな 昼の月

うつや太鼓の 音さえ悲し
雁が啼く啼く 城下町
暮れて恋しい 宿屋の灯
遠く眺めて ひと踊り

ところ変れど 変らぬものは
人の情の 袖時雨
ぬれて涙で おさらばさらば
花に消えゆく 旅の獅子


15.風の流れに

作詞:岡林信康
作曲:岡林信康

つらい涙は ふかずにずっと
流し続けな 気のすむままに
そうさそのうち 重たい雪も
いつか溶け出し 日の光
むっくり顔出す 青い芽も

嬉しい時は 笑えばいいさ
気のすむままに 思いっきり
そうさ真夏の 真赤な太陽
青い野原も 思いっきり
萌えて繁るよ その時は

山のつつじを 一緒にいつか
摘みに行こうよ 素敵だぜ
咲くも花なら 散るのも花よ
そうさいいんだ いいんだそれで
泣いて笑って ゆくだけさ


16.川の流れのように

作詞:秋元康
作曲:見岳章

知らず知らず 歩いて来た
細く長い この道
振り返れば 遥か遠く
故郷が見える
でこぼこ道や
曲がりくねった道
地図さえない
それもまた人生
ああ 川の流れのように
ゆるやかに
いくつも 時代は過ぎて
ああ 川の流れのように
とめどなく
空が黄昏に 染まるだけ

生きることは 旅すること
終わりのない この道
愛する人 そばに連れて
夢探しながら
雨に降られて
ぬかるんだ道でも
いつかは また
晴れる日が来るから
ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
移りゆく
季節 雪どけを待ちながら

ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
いつまでも
青いせせらぎを 聞きながら